歯科コラムcolumn

虫歯の進行

2021.08.30

日常生活の中で特に意識することなく、何でも美味しく食べれるのが当たり前と思われている方はたくさんいらっしゃるかと思います。ただ、そういう当たり前がある日、突然の歯の染みや食事の際の痛み、などの症状が出ることで心配や不安に変わってしまいます。
 
そうした時に、皆さん、次のようなことを思われることもあるのではないでしょうか?
「しばらくしたら自然と良くなるんじゃないかな」
「痛みが引いたから、もう大丈夫!」
「こういう時は歯医者で診てもらうのがいいんだろうな〜(怖いな)」
 
お口の中は鏡で見ても暗くて見にくかったり、よくわかりませんよね。
歯が黒く見えたら、とんでもない虫歯があるように感じたりしますよね。
大きく欠けているのに染みたり、痛みがないと逆に心配になりますよね。
 
ここでは、あんまり聞いたことがないかもしれない、お口の中で染みや痛みが出る原因についてお話していきます。
 
お口の中で痛みが出る場合は大きく分けて2パターンです。
①噛み合わせが影響している場合
②お口の中のばい菌が悪さをしている場合

 
少し詳しくお話していきましょう。
 
①噛み合わせが影響している場合
皆さん、上の歯と下の歯が噛み合うことで食べ物を美味しく食べることができています。しっかりと噛めることは大切ですが、強過ぎる噛み合わせの力(咬合力)は、それ自体が痛みを引き起こす原因になることがあります。

歯と骨の間には歯根膜というクッションの役割を持ったじん帯が存在します。歯根膜のおかげで噛んだ際の力の具合を繊細に感じ取ることができるのですが、あまりに強い咬合力が加わり続けると、歯根膜が炎症を起こし噛んだ際にズキっとした痛みを感じることがあります。この場合は、噛み合わせが強い部分を調べて調整してあげたり、炎症を抑えるお薬を飲んでもらったりすることで症状を改善させていきます。夜の歯ぎしりや食いしばりが強い場合にはマウスピースで保護していくことも有効な方法です。
このようなケースでは、強い噛み合わせが歯に加わり、力の歪みが生じる部分(多くはほっぺた側の歯の付け根あたり)がくさびの様にすり減ってしまいました。昔は強すぎるブラッシングの圧力が原因と言われた時期がありましたが、今では過剰な咬合力が原因で起こる疾患とされています。虫歯ではありませんが、強い染みの症状が出ることがあり、これがいわゆる知覚過敏です。染みどめを塗ったり、白い樹脂の材料により治療を行うこともあります。

 
②お口の中のばい菌が悪さをしている場合
誰のお口の中にも「虫歯菌」「歯周病菌」が存在しています。
〜虫歯菌〜
ミュータンス菌などの虫歯菌が悪さをすると、健康な白い歯が溶かされて、黒い虫歯ができてしまいます。虫歯の黒い穴の中は虫歯菌の巣になっていて、しっかりと治療して巣をやっつけておかないと、エナメル質→象牙質→歯髄と虫歯がドンドン進行していき、染みや痛みを引き起こします。ずっと我慢して痛みが引いたと思っても、それは歯髄が虫歯菌に侵されて死んでしまっただけかもしれません。一時的に症状はなくなっても、歯髄のさらに先にある根っこの先の穴から虫歯菌は骨に進行し、膿がたまったり、これまで体験したことがない様な大変な痛みを引き起こすことがあり油断はできません。
 

 
〜歯周病菌〜
歯周病はお口の中の歯周病菌が原因で起こります。詳しくは歯周病のページでお伝えしますが、疲れている時や体調がすぐれない時、口腔ケアがうまくできていない時など、「あなたの身体の免疫力」が「歯周病菌が引き起こす炎症」に負けた時に歯ぐきがひどく腫れたり、強い痛みが出ることがあります。
 
このように、お口の中の染みや痛みは、色々な原因があって引き起こされます。
症状が一時的に落ち着いていても安心できない場合も多々あります。
 
染みや痛み=麻酔して削らないと! ということはありません。
 
不安な症状がありましたら、お気軽にご相談ください。