予防歯科preventive dentistry

予防歯科

皆さん、予防歯科という単語は耳にする機会はよくあると思いますが、具体的には何をどう予防するのか?
また、どうしたらできるのかはあまり知らない方が多いのではないでしょうか。

一般的には予防歯科で予防する対象は「虫歯」と「歯周病」です。
永久歯が生え揃う12歳前後までは虫歯予防を重点的に。
30代を過ぎると虫歯だけでなく歯周病に対するケアも大切になってきます。

虫歯予防に関して

虫歯ができるのには4つの要因が存在するといわれています。

  • 1.虫歯菌(ミュータンス菌)
  • 2.自身のお口の中の環境(唾液の量や性質、歯の硬さ等)
  • 3.食べ物・飲み物(糖分)
  • 4.時間

この4つの要因が組み合わさって虫歯が発生します。

1「虫歯菌」について

虫歯菌は誰のお口の中にも存在しています。生まれてすぐの赤ちゃんにはいませんが、成長していく過程で身近な家族から受け継ぐことが多いと言われています。
1~3歳でほぼ決まってしまいます。虫歯が多い人から受け継いだ子どもは虫歯菌が多くなります。

2「唾液の量や性質、歯の固さ等」について

自身のお口の中の環境は、生まれついた歯の硬さや唾液の量・性質などのことを指します。
生まれつき硬い歯をもった人は虫歯になりにくく、サラサラで唾液の量も多い人はお口の中がキレイに保たれやすく虫歯になりにくい環境といえます。

3「食べ物、飲み物」について

食べ物、飲み物は皆さんが必ず口にするものですが、糖分を含んだものを飲食された後は必ずお口の中が酸性になってしまいます。
また、糖分は虫歯菌が歯を溶かすためのエサになるため、糖分が歯の表面に付いている状態が長く続くと歯の表面が溶けて虫歯になってしまいます。

間食を頻繁に取られる方は要注意です!!

4「時間」について

時間というのは、虫歯になりやすい状態がどのくらいの時間続いているのかです。虫歯になりやすい状態が短ければ虫歯になりません。
逆に長い時間その状態にさらされると必ず虫歯ができてしまいます。

虫歯予防で重要なこと

お口の中の環境をしっかり守るためには
ご家庭でのセルフ・ケア と 歯科医院でのプロフェッショナル・ケア
この2本柱がとても重要です。

  • ・虫歯菌の住処であるプラーク(歯垢)をしっかり取りきる上手な毎日のブラッシング
  • ・間食はしない。歯磨きの後は絶対飲食はしない。

どんなに上手に磨けている人でも歯石になってしまったプラークを取るのは至難の業です。
若い頃からの日々のご家庭でのブラッシング、定期的な歯科医院でのメンテナンスを行うことにより、虫歯だけでなく、歯周病もしっかりケアしていくことが可能です。
虫歯は歯面に付着したプラークが大きな原因になりますが、歯周病では歯と歯茎の隙間=歯周ポケットに沈着したプラークが大きな原因になります。歯周病は自覚しないうちに静かに進行していくことが多い怖い病気です。
進行することにより、血流に乗って歯周病菌が体内を回ります。心臓病や糖尿病をはじめ全身疾患にも悪影響を及ぼすことが報告されています。
虫歯だけでなく、歯周病に関しても予防の意識はとても大切です。

個人差はありますが3か月に1回の歯科医院でのメンテナンスが推奨されています。

また、フッ素やキシリトールを効果的に使用することは虫歯予防の大きな助けになります。
大人よりも乳歯、生えて間もない永久歯を持つ小児に対して特に効果が期待できます。
歯周病も菌による感染症です。クロルヘキシジンという歯周病菌に効果のある薬効成分を含んだ歯磨剤・うがい薬も存在します。

効果的な使用法に関して知りたい方は、お気軽にご相談ください。

フッ素を身近に感じよう! フッ素は危険じゃありません!!

フッ素の有効性、安全性はWHOをはじめ、世界各国の医学専門機関が認めています。
 
フッ素には副作用の危険性が全くない訳ではありません。
しかし、普通に使用していれば、安全性は心配いりませんし、フッ素の利用によって虫歯の数が激減し、虫歯の痛みや不快感、トータルで治療にかかる費用や時間などが確実に軽減されます。

フッ素は私たちの身近にある元素の1つで、多くの食品に含まれている栄養素の1つです。

こんな食品に含まれています
海藻 イワシ お茶 エビ etc.

このようにフッ素は多くの食品に含まれていますが、虫歯予防のためには食品からフッ素を摂取するだけではなく、歯科医院でのフッ素塗布、フッ素入り歯磨剤の使用、フッ化物洗口などを行った方が効果が高いのです。
歯科医院で塗布するフッ素の濃度は市販の歯磨剤などに含まれている濃度の約10倍の濃度があります。フッ素が歯の内部に取り込まれる量も多いため非常に有効です。

フッ素の働き

フッ素配合の歯磨剤を使った場合の虫歯予防率は約2年間の継続使用で20~30%と言われています。より長期間の継続使用、歯科医院でのフッ素塗布などを併用することで虫歯の予防率はさらにアップします。

酸産生抑制作用虫歯の原因菌であるミュータンス菌の働きを弱め、プラーク内の細菌が作る酸の量を抑えてくれます。
再石灰化の促進歯から溶け出したカルシウムやリン酸といったミネラル成分の再沈着(再石灰化)を促進させます。
歯質強化歯の表面を酸に溶けにくい性質に改良します。乳歯や生えたての歯はやわらかいので、フッ素の使用により歯質強化に努めましょう。
専門的には歯の表面、エナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトの結晶がフッ素に触れることにより、フルオロアパタイトというより酸に強い結晶に変化することが知られています。

フッ素が特に有効と言われているもの、全年齢層に有効です。

  • ①4~15歳までの使用:生えたての歯は表面のエナメル質と言われる部分が成熟していないため、この時期はフッ素による虫歯予防効果が特に高いといわれています。
  • ②矯正治療中の患者様の虫歯
  • ③成人の歯と歯の間に出来る虫歯
  • ④高齢者の根面にできる虫歯

※ フッ素はあくまでも虫歯の予防と初期虫歯の進行抑制に対してのみ有効です。すでに穴が大きくあいてしまったり、痛みのある進行した虫歯がある場合は、できるだけ早く歯科医院で治療を行うことをお勧めします。

虫歯予防として日本で認められているフッ素の応用方法は3つです。

①フッ素配合歯磨剤の使用ご家庭でフッ素配合の歯磨剤を使って歯磨きする方法です。市販の物は全て1000ppm以下に規制されています。
②歯科医院でのフッ素塗布歯科医院で使われるフッ素歯面塗布剤は市販の歯磨剤の約10倍、9000ppmという高濃度のものです。歯科医院で年に3~4回塗布することで非常に高い効果が得られます。
③学校や家でのフッ化物洗口歯磨き後に低濃度250ppmのフッ化物で約1分間うがいをする方法です。4歳~14歳まで継続することで、20歳での虫歯保有率は半分以下というデータもあります。
番外編ぶくぶくうがいができない小さなお子様などに使用できる低濃度のフッ化物スプレー=レノヴィーゴ(100ppm)などもあります。これは噴霧後のうがいの必要がなく、低濃度ながら長時間歯面に作用してくれることからお勧めです。

このように低濃度のフッ素と高濃度のフッ素の相乗効果により、虫歯になりにくい強い歯を維持することができるのです。
フッ素活用で1番大切なことは継続して続けることです。
気まぐれなフッ素使用ではなく、初志貫徹のフッ素使用で強くて綺麗な歯を育てていきましょう。